2003年分

研修事業の行方
2020年12月15日

 コロナ禍の影響で経済活動が大変な状況にあります。民間では業績が悪化すれば、研修の『廃止』『縮小』が徹底されます。その経緯は明らかにされませんが、研修のプロ(入社時から研修を専門とする叩き上げの社員)集団が、議論に議論を重ねることは言うまでもありません。内容はもちろん講師の人選についても然りです。そして、トップからは出された結論への説明責任を求められます。

 自治体の場合はどのような経緯を経るのでしょうか。一度聞いてみたいと思いながら、これまで確認したことはありません。まさか担当者任せ、ということは無いと思いますが、トップがどこまで介入するのか興味津々です。任されることはとても大切なことですが、任す側の任せ方が重要だと思うのです。人材育成が根付いている組織は、議論をとても重要視します。そして、トップの任せ方も上手いのです。R3年度の自治体の研修事業は、財政面でもかなり厳しくなるようです。スタッフの皆さんで徹底して議論し、知恵を絞ってください。安易な『廃止』『縮小』は慎むべきです。公明正大を旨としてください。「厳しい時代だからこそ、人材育成が大事!!」と、トップに掛け合うくらいの気概に期待します。

 
 


アンケートから何を読むか(後編)

 後編となりました。アンケートの目的、C受講者自身の問題や課題をみつめさせることについて触れます。アンケートで見落とされやすいのがこの点ではないでしょうか。

 ある自治体では、アンケートの冒頭に受講姿勢、意欲(やる気)などについて.1、大いにあり  2、かなりあり  3、普通  4、ややなし  5、全くなし  のように設問しています。面白い試みだと思います。さらに、その理由を記述させるようにすれば、企画や運営にも活用できます。せっかくここまでやるのでしたら、「日頃不足していると感じる能力は?」「この研修での習得目標は?」などの設問をして記述させる方法をとるべきです。つまり、ここまでが
受講前アンケートで、オリエンテーションの時に記入させるわけですアンケートは、研修の効果測定をするための重要な手段です。しかし、前述した受講姿勢や意欲などと照らし合わせて評価しないと有効な測定とは言えないのです。

 受講後のアンケートでは、@目標への達成度 A理解度(ここでは、自分の能力レベルでの理解度、講師の指導能力による理解度を
明確に区分すべきです。とかく後者に限定したアンケートとなりがちです)B今後の活用方法や課題などについて記述させて受講者自身の問題や課題を見つめさせるきっかけとしなければならないのです。あとは、必要に応じて、総合評価のための設問を設定すれば良いのです。

 さて、ここからが
研修担当者の真価が問われるのです。アンケートのとりっぱなしは慎まなければなりません。また、アンケートをコピーしてただ報告するようでは研修担当者失格です。アンケートから聞こえてくる声を分析して、自分なりのコメントを付けてフィードバックしなければならないのです。誰にフィードバックするか。@研修主催部門長 A研修派遣部門長 B研修担当講師 は言うまでもありません。私でしたらC受講生 にもフィードバックします。

 最後にフォローです。気になるアンケートがあったら本人と面接することだって研修担当者の役目なのです。また、接遇研修を実施したら、数日後にあなたの目で現場の様子を確認したり、所属長に成果のヒアリングなども行わなければならないのです。それらが連動して研修効果の測定が可能になるのです。

 今年も残すところ1ヶ月となりました。どうぞ良い年末をお過ごしください。
16年度もさまざまな角度から配信させていただきます。今後とも、よろしくお願いいたします

 

アンケートから何を読むか(中編)
 
 前編では、アンケートの目的は、その中から、@研修の内容、レベル A講師の運営や実力 B研修担当の企画能力 などの判断材料を読み取る(分析する)こと、そして、最も重要なのが、C受講者自身の問題や課題をみつめさせることにある、と述べました。

 @の研修の内容については、Bとも関係してきますので、ここではレベルについて考えてみましょう。アンケートの設問の中に「理解できましたか」という項目をよく目にします。評価は、多いに理解できた〜まったく理解できないの5段階が一般的なようです。この時の理解には、二通りが考えられます。講師の指導力が未熟で理解できない場合、そして、もう一つが受講生の理解レベルが低くて理解できない場合があげられます。研修担当者は、アンケートから該当性の高さがどちらにあるかを読み取らなければならないのです。これは企画にも絡んできます。たとえば、政策形成能力の開発を目的にした研修も大切ですが、それ以前に
文章が書けないレベルであれば、まず、文章の書き方の研修を優先させなければならないのです。

 Aについては、初回だけでもじっくりと観察することです。講義、実習指導、教材など
多面的にみて、講師の実力や真剣さなどを見抜くのです。信頼し安心して任される講師でしたら、リピートした2回目以降は、あなたの判断で教室での観察時間を調整すれば良いのです。

 さて、中編で力説したいB研修担当の企画能力について述べさせていただきますが、少し失礼な表現は、ご容赦ください。以前から気になっていたことが二つあります。一つは、企画が流行に流され過ぎていないか、ということです。研修の企画は、自分の組織にいま何が欠けているか、何を求められているかなどを熟慮して立てなければならないのです。部下、後輩を育てる組織風土に欠けているならば、そこにメスを入れる研修が最優先なのです。役所の管理職に経営意識が乏しいのならば、経営や財務の研修から始めなければならないのです。もう一つは、アンケートの設問についてです。「役に立ちましたか」という項目が前述と同じように5段階評価で並んでいます。この設問に疑問を感じます。
役に立たないような企画をしてはいけないのです。企画をした以上どうしたら役立たせるかを考えるのが研修担当者の役目だと思うのです。設問のねらいがわからないわけではありませんが、何となく腑に落ちないのです。少なくとも私は、役に立たない仕事だったらすべきでないと思っています。設問の工夫に期待します。

 Cや研修の効果測定については、後編で述べさせていただきます。


アンケートから何を読むか(前編)
 アンケートは小泉総理の支持率なようなもの?再任され組閣を終えた小泉総理の支持率がまた上がっています。新聞各紙も高い支持率のオンパレード。でも、世論調査というのは設問の内容や聞き方、前後の質問の仕方などで結果はガラッと変わってしまうものと言われているようです。調査の方法は電話方式。対象者は、年代毎に無作為に3000ほど抽出するそうです。そして片っ端から電話をするそうです。当然電話にでない人はパス。結果、電話にでやすい主婦や在宅の人が回答の主流となるそうです。そして、1000集まると調査完了としているところがほとんどと聞きました。つまり、マスコミのさじ加減一つで結果が変わる危険性があるわけです。研修アンケートもこれに似たことが言えます。だからこそ研修主催者は、アンケートの持つことの意味や功罪をしっかりと考えておかなければなりません。よい研修なのに廃止になったり、研修講師の人生を左右することだってあるのですから・・・


 昔、お付き合いのありましたAさんは、アンケート結果に一喜一憂する人でした。良かったと言う声に小躍りし、批判的な声で沈んでいました。でも、私は少し違います。誤解のないように申し上げますが、アンケートは貴重な情報として感謝しています。でも、プラス評価もマイナス評価も私は7掛け程度で読ませていただいております。理由は、@世論調査と似た側面があること A学習意欲、自己啓発意欲がない人に限って評価はマイナスでつける傾向があること Bアンケートの目的がよく分かっていない惰性的なアンケートが多いこと(例えば、アンケートの
書式一つとらえても本来は、研修内容、対象者、階層などに合わせて書式を変えなければならないものなのです)  などです。それでは、アンケートの目的とは何でしょうか。アンケートの目的は、その中から、@研修の内容、レベル A講師の運営や実力 B研修担当の企画能力 などの判断材料を読み取る(分析する)ことにあります。そして、最も重要なのがC受講者自身の問題や課題をみつめさせる ことにあるのです。次回ではそれらの点についてもう少し具体的に考えてみることにいたします。

知っていますか?研修用語・研修技法
 転職して私のような仕事(教育コンサルタント)に携わる人はたくさんいます。一般的には、企業の研修スタッフとして長年のキャリアを積んでからの転職が多いようです。ですから、豊富な知識を備えています。でも、私には以前の勤務先で研修スタッフの経験がありません。そんなわけで、この世界に飛び込んだ当時は、知らないことばかりで恥ずかしいやら戸惑いの連続でした。OJT、OFF・JT程度は理解していましたがMTPとJSTの違いは?となると全く分かりません。本当に弱りました。

 2日間コースの研修なのに、研修担当の方から「レジュメを送ってください」。との連絡をいただくことがあります。そんな時、失礼ながらこの方は、レジュメ・研修カリキュラム・テキストなどをゴチャゴチャに理解しているな、と思います。あなたはいかがでしょうか。そこで、簡単な自己診断です。よく理解しているを5、全く分からないを1の5点法でチェックしてみてください。

ヒューマンアセスメント X理論、Y理論 プリセプター制度
ブレーンストーミング ジョハリの窓 インバスケット法
マズローの欲求の5段階 KJ法 ロールプレィング
ファミリートレーニング TA MTP・JST

 いかがでしたでしょうか。
研修担当者には、浅くてもかまいませんから広い知識が求められます。特に研修技法などについては、ある程度のことを知っていないと依頼先にニーズを的確に伝えたり、依頼先から提出された企画書を読みとることができなくなります。結果的に相手任せの研修になってしまいます。

 研修用語や技法について、私なりに整理した簡単な解説書(5ページ程度)があります。必要でしたらご連絡ください。無料で郵送いたします。

研修の出席率をめぐって
 最初から失礼な言い方ですが、自治体職員は、民間と比較されることがことさらイヤのようです。ですから、比較するときはこちらも注意して発言するようにしています。でも、比較されても仕方がないことがたくさんあります。

  その一つに研修の出席率があります。自治体の研修では、当日の欠席が当然のように行われています。欠席の理由がふるっています。「急な仕事が入ったから」「仕事が忙しいので」など、この役所を背負っているのは俺だと言わんばかりです。民間だったら「うぬぼれるのもいい加減にしろ。日頃の管理能力のなさに恥を知れ」と逆にどやされてしまいます。これだけ
感覚がづれていることを謙虚に反省すべき、と最近は特に思います。

 研修の担当者もそのことがよく分かっているのに手を打てないのが実情のようです。そこで今月のアドバイスは、出席率をいかに高めるかについてです。出席率を高めるには、マクレガーのX理論に立たなければ、と私は思っています。「人間は生まれつき怠け者で仕事が嫌いで働くことを好まない」がX理論の考え方です。これを研修に置き換えると「人間は生まれつき怠け者で勉強が嫌いで学ぶことを好まない」になります。そのことを前提にすると、出席率を高めるには、強制・統制・圧力の管理方法しかないと考えます。

 研修担当が
心を鬼にして対策を講じなければ改善などあり得ないと思います。O市も、出席率の悪さに悩んでいました。そこで、大胆な手に出ました。欠席届の承認の捺印欄を係長→課長→部長→助役→市長にまで拡げました。そして、本人が直接所属長から承認印をもらわなければならないシステムにしました。もちろん、助役・市長印は、市長室長クラスの人が押すのでしょうが・・・・・反感をくらいながらも研修担当者は、市長印まで全ての捺印の無い欠席届は突き返しました。何年か経った頃、”研修は受けるもの”との意識が見事に定着しました。次はE市の事例です。研修担当のOさんは研修にとても熱心な方でいい加減なことが嫌いな人です。彼は、過去数年に渡って所属別の研修出席率を調べてみました。その結果、以外なことを発見しました。出席率の良い職場と悪い職場がはっきりしていること、良い職場の管理職(部課長)が悪い職場に異動するとそこの出席率が向上すること、逆に、悪い職場の管理職(部課長)が良い職場に異動するといつの間にか出席率が低下していること、などに気がつきました。つまり、出席率を左右する原因は、本人に起因することはもとより、所属長の考えや組織風土に根本的な原因があることを確信しました。詳細なデータをもとに彼は市長に直訴しました。市長が管理職を集めて叱責したのは言うまでもありません。

 厳しい言い方ですが、研修担当の皆さんには、もっとトップを巻き込んででも
出席率改善に自らの研修姿勢を見せていただきたいと思うのです。そして、研修を提供する私たちスタッフは、出席して良かったという満足感を勝ち取るために命懸けで精進しなければならない、と思うこの頃です。


オリエンテーションの真の意味
 『orientation』。方向を定めること、と言う意味から一般的には学習に先立ち、その方針・内容などについて方向づけすることと言われています。
 しかし、残念ながらこのことをしっかりと理解している研修担当者が少ないのも事実です。オリエンテーションは、
事務連絡と担当講師の紹介をすることと勘違いしている人はいないでしょうか。もちろんそれも役割の一つですが、重要なことは、研修に先立ち受講姿勢の気運を高めるための動機づけ、方向づけをしっかりと行うことです。つまり、研修の旗振り役であり、舵取り役でなければならないのです。そのためには、研修の目的やねらいを把握して明確に伝えなければなりません。私が研修担当者だったら、受講生の賃金の概算を弾いてどれだけの費用がかかっている研修なのかを紙に書いて張り出すくらいの事はしたいと思います。研修は仕事の一貫であり、莫大な費用をかけた人的投資であることをきちんと認識させることもオリエンテーションでの大切な役割です。

 時には憎まれ役も買わなければなりません。H市の研修担当は、9時スタートの研修で10分前に入室がないと職場に電話をかけ始めます。昼休みも5分前に入室していなければ同様です。ときには、受話器の向こうで「まだ時間になっていないでしょう!」と反発の声が聞こえてきます。でも彼女は徹底しています。“5分前行動の常識”を組織風土にしようと懸命なのでしょう。私はその側で、いつも関心して見ています。彼女の熱意こそがオリエンテーションそのものなのです。

 オリエンテーションの真の意味について述べてみました。オリエンテーションを効果的に行い、あとをバトンタッチする講師に、やりやすい雰囲気でつなぐ、それが研修担当者の手腕として問われるのです。

チャンス&チャンス
研修担当になられてどの位になりますか?仕事は楽しいですか?張り切っていますか?
組織の良し悪しの決め手になるのは、集団を構成する人そのものです。その意味では、研修担当者の役割と責任には大きなものがあります。まさに、研修担当者は,人材育成株式会社の社長なのです。あなたにはそのチャンスが与えられたのです。人を変える、組織を変える,風土を変える。「そんな大胆なことが私にはできない」などと弱音を吐くのは早すぎます。もう一歩踏み込んでしっかりと手を伸ばせば、そこに手が届くのです。
研修屋から脱皮して研修家をめざすのです。あなたの力で組織が変わる。その担い手となれる自分。素晴らしいと思いませんか、楽しい仕事だと思いませんか!目が輝いてきませんか。
それにもう一つのチャンス!それは誰よりもあなたが一番勉強できること。それもただ(無料)でです。こんなチャンスは滅多にありません。本気でこの仕事に取り組んだら、人が変わる、組織が変わる、風土が変わる。そして、一番あなたが変わる!
チャンス&チャンスを単なる事務屋として終わらせないで欲しいものです。次月からは、研修担当者の皆さんが抱える問題や悩みに,もっと具体的なアドバイスをさせていただきます。
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